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概要

  • イベント全体の予算関連作業について書きます。

  • 可能であれば、予算・会計担当として会計までを同一人物が行うことが望ましいです(会計タスクには予算の理解が必要なため)。

目次

はじめに

  • 精度高く予算組みを行うことで、 イベントの赤字化を防いだり 、 重要箇所への適切な支出 が可能になります。

  • 今後もイベントを健全に継続するためには、単年で黒字にすることが重要です。

  • また、予算精度が低いと、本来お金をかけるべきところにどの程度支出可能かがわからず、適切な予算投下ができません。実際は大幅な黒字にも関わらず、イベントの質を自ら落としてしまうことになります。

スケジュール概要

9月中旬開催の場合

  • 2-3月: 仮予算情報収集

  • 3月: 仮予算作成 ※6ヶ月前

  • 4-6月: 仮予算調整・更新

  • 6月: 予算確定 ※3ヶ月前

  • 6-9月: 予算変更(審議)・調整

仮予算作成

目的

  • 仮予算作成の目的は以下です。

    • 各収入、支出の内容、金額の妥当性を確認する

    • 収入、支出のバランスをとり、大幅な黒字/赤字がないようにする

    • 予算に優先度をつけ、必須のものや余裕があったら執行する予算を確認する

    • 収入、支出のタイミングを確認し、キャッシュフローに問題がないかを確認する

進め方

  • 例年チーム組成には時間を要するため、チームの組成を待たずに、現在いるメンバーで仮予算作成を進めたほうがよいです(このあと新規に参加するメンバーが、予算作成に関われるまで情報をキャッチアップするにはさらに時間がかかるためです)。

  • 最初は前年の予算情報をベースにしたものを仮設定して、過去の予算情報を参考にしながら、目立つ部分から手を入れていく形がいいかと思います。作業時期的に、一から作成するには人手も時間も足りません。

  • 仮予算・本予算組みには、スプレッドシート(後述)を利用しています。

予算担当の役割

  • 予算担当は、仮予算がスケジュール通りに作成されるように、議論の土台(スプレッドシート等)を準備し、メンバーに働きかけて仮予算情報を集めます。

  • 一人で予算を作成するのは工数的にも時間的にも難しいため、メンバーに働きかけて情報を入力してもらいます。仮予算の段階ではチーム組成が不十分なことが多いため、チームを超えて全員で予算を作っていけるような働きかけが重要になります。経験者メンバーは、他のチームに関する予算知見を持っていることもあります。

  • 頻繁に仮予算作成会を開催するとことで、予算情報が集まりやすくなります。

  • 会場費用や会計士費用等、いくつかの大きな金額はこの時点でも確定しています。調べて確定情報として入力します。

  • この時点で、 スポンサーパッケージの金額 、 来場者人数・チケット金額 をある程度決めておく必要があります。これは仮予算をまとめる際に、収支バランスを考慮するためです。早い段階で各担当者に依頼をしておく必要があります。

  • 予算情報が集まったら、収支バランスを見ながら個別に調整を図ります。

  • この時点では100万円以上(予定収入の5%以上)の黒字にしておくのが望ましいです。(スポンサーが想定数集まらない、未特定のコストが後日発覚する等、不確定事項の多くがマイナス方向のものが多いため)。

  • 予算情報が集まり、バランス調整が必要な箇所が把握できたら、仮予算決定ミーティング(後述)を行います。

仮予算決定ミーティング

  • 記入された仮予算をもとにミーティングを実施し、全体でのすり合わせを行います。

  • 仮予算が決定したら、Aの項目については各担当でタスクをすすめて、予算の範囲内で実施してもらいます。

  • 仮予算なので細部に関しては追加・変更の余地はありますが、大枠でバランスを取っている状態のため、大幅な追加・変更には議論が必要となります。

仮予算精査の観点

  • 優先度は適切か(「 イベント方針をまとめる 」でまとめた要求分析ツリーの優先度と合っているか)

  • 単価や員数は適切か

  • 抜け漏れがないか

  • 二重に計上されているものはないか

  • 優先度A(必須)項目で支出と収入のバランスはとれているか

  • キャッシュフローは問題ないか

留意事項

PyCon JPでは回数を重ねているため、スポンサー収入を開催前に受け取れたり、支払いを後払いなどにできるようになっているためキャッシュフローには問題はないことが多いです。 しかし、初めて開催するイベントなどは外部に対しての信頼がないため、支払いは前払いでスポンサーからの振り込みはイベント開催後となったりします。 そうすると、手元の現金が一時的に赤字になる場合が考えられるので、キャッシュフローの確認は重要です。

予算スプレッドシート

  • 予算はスプレードシートを用意して、各自に書き込んでもらいます。

  • シートには以下の様な項目が書き込めるようになっています。

  • 定期的(1-2週に1回程度)に バックアップ用にシートを複製・保護 しておくことをオススメします。過去の収支バランス状態と比較する際に大変便利です。

予算シートの入力項目

項目

説明

カテゴリ

予算の大まかなカテゴリを記述します。事務局経費、グッズ、設備、ランチなどいろいろあります

詳細

予算として使用するものの名前をできるだけわかりやすく書きます

優先度

予算の執行の優先度ABCなどで記入します

単価

参加者などに関係するものなどは、単価を記入します。 税込 金額を記載したほうが管理が相当効率的になる。

員数

物品などの数を記入します

支出/収入

単価x員数の値が入るようにします

備考

金額の根拠や利用する業者などの説明を記入します

支払い時期

キャッシュフローの計算のために、支払い時期を「X月」みたいな形式で記述します

JIRA、リンク

予算項目に関する関連チケットや参考リンクがある場合は記入します

優先度

  • 予算項目には優先度を設定し、優先度ごとの収支バランスを確認して、予算の調整を行います。

優先度設定

  • S: 執行済予算。発注・支払済コスト、受注済売上(スポンサー費用、チケット売上等)等の 実行済みの項目 。

  • A: 実施するコスト、確度の高い収入。未発注及び未受注のもので、万が一の場合、発注取消や未収入となるもの。

  • B: 予算上余裕が出た際に実施するもの、確度の低い収入。 スポンサー収入については、同一スポンサーパッケージであっても 確度の高い応募数をA, 残りの枠数をBまたはCに分ける と予算精度が上がります。

  • C: 優先度の低い予算、確度の低い収入。

予算バランスの確認・調整

  • スプレッドシート上に、下記3種それぞれの支出合計・収入合計のフィールドを用意します。

    • Sのみ: 実行済予算、確定済収支でバランスを確認します。

    • S+Aのみ: 最終的な予算着地を見据えた収支数値になります。予算バランスの確認・調整で最も利用する項目になります。

    • S+A+Bのみ: Bを含めた状態での予算バランスを確認します。使用頻度は高くありません。

仮予算調整・更新

内容

  • 仮予算に対しての、変更要求を収集して予算スプレッドシートに反映していきます。

  • 具体的なチーム活動が始まる時期のため、各チームに頻繁に働きかけて予算に関する精度の高い追加情報を集めます。

  • スポンサーの申込状況を参照し、収入の見込みも抑えます。

  • 最終的に本予算とするために、全体バランスを考慮し、個別の項目について調整します。

予算設定会議

  • 本予算作成に焦点を当て、チーム代表者を交えて予算会議を行うことが望ましいです。

  • 登録済みの予算表の読み合わせがベースになります。

  • 開催頻度は、月に1回程度・本予算作成前は2週間に1回程度が目安です。

  • 収支バランスを確認しながら、チーム間を超えた優先度設定を協議します。

  • 抜け・漏れが無いか、見積精度が低くないかをチーム間を越えてチェックし合います。

  • 各予算項目について、不安から多めに予算計上してしまうと、 本来必要な投下予算が割り当てられず、イベントの質の低下に直結 します。精度の高い見積もり・予算作成を心がけけてください。

  • 収支バランスに問題がある場合に、アクションプランと担当者を決めて解決を図ります。

  • 最終的に、各予算項目・全体収支バランスをメンバーで確認・合意し、本予算を確定します。

  • 支払いに際しては、 本予算金額 が会計承認の基準になります。

  • 確定した本予算のスプレッドシートは複製して保護します。

本予算調整・更新

  • 本予算確定後は、予算額を超える支出・予算額を下回る収入変更には、必ず 予算担当 を通すようにします。

  • 当初確保予算の細分化や配分変更は自由にしてもらうことにします(スプレッドシートの備考欄)

  • 予算変更依頼があった場合、予算担当が全体終始(着地予想)を確認しながら、予算変更の承認や条件付承認(予算の付替えなど)を行います。

  • 影響の大きな変更については、座長や関係者に承認有無を諮ります。

  • 開催期日が近づくほど、予算の変更余地は少なくなります。

予算見直しの目的

  • 予定よりも予算が必要となった項目について、予算として認めるかの確認

  • 新規に予算を付けたい項目についての優先度決め

  • 現在の収支バランスでの優先度A(必須)項目の見直し

  • 今後収入が増えた場合に、どの優先度B項目から実施するかの順番の決定

追加予算の確認

  • 実際に見積をとってみたりすると予定よりも金額が必要になる場合があります。

  • また、新規にアイデアなどがでてきて、追加で予算をつけて実施したい場合もあります。

  • そういった項目を追加予算項目として記入し、支出として認めるかどうかを判断します。

必須項目の見直し

  • PyCon JPでは収入のほとんどはスポンサー収入とイベント入場料です。

  • イベント入場料はそのまま参加者の食事、グッズ代などに使用するため、人数が多少増減しても全体の収支バランスには大きな影響は与えません。

  • 逆にスポンサー収入は大きく変動する(支出にはあまり連動しない)ため、スポンサー収入の状況が見えた段階で全体の収支バランスを見直します。

  • 具体的には、収入が予定より多い場合には必須の支出項目を増やし、逆に少ない場合にはもともとは必須としていた項目を削るようなことがあります。

優先度Bの順番決定

  • スポンサー収入が増えた場合に支出項目を増やすということを書きましたが、見直し後に急に大口スポンサーが決まり、収入が増える場合があります。

  • その際に都度どの項目を実施するかをミーティングなどで決めていると時間がかかるため、あらかじめ追加項目の優先度を決めておきます。

  • 優先度Bの項目の優先度を先に決めておくことにより、XX万円増えたので優先度1から3まで実施、といったことがある程度機械的に判断できるようになります。

  • こうすることにより、追加項目の決定までの時間を短くできます。

金額の更新

  • 実際の金額が確定した場合には、予算シート状で都度金額を更新します。

  • 見積が添付してあるJIRAのチケットなどへのリンクを合わせて記述しておくと把握しやすいです。

支出の承認

  • 各支出の承認は会計担当が行います。

決算

イベントの終了後にイベント単体での決算を行います。

PyCon JP では以下のようにイベントのページから決算の概算(カテゴリごとに集計したもの)を参照できるようにしています。

それとは別に、一般社団法人PyCon JPとして会計年度ごとの決算報告を行っています。 ここにイベント以外の収支も含まれています。

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