公募トーク
トークを募集するフォームを「プロポーザル」(提案の意味)と呼んでいる(カンファレンスで話したい人はプロポーザルを応募する)
英語ではプロポーザル募集を、Call for proposalsのように言う。これを略してCfPということもあり、PyCon JPスタッフの中でもプロポーザルの意味でCfPということがある
概要
トークセッションを公募・選定し、当日の全公募トークセッションを実施する
もう少し詳しく言うと
国内外やPython歴の長短を問わず、Python使いから広くトークを募集する
カンファレンスで話すトークを選定する(全スタッフ・外部レビュアーの力を借りる)
スピーカーとやり取りし、当日のトークを実施する
目的
PyCon JPのミッションの1つ「知識を分け合う」を実現する
誰に:トークする人(=スピーカー)
届ける価値:
Pythonに関する自分のPython知識が他のPython使いに共有できて嬉しい
アウトプットすることで学びになる
ブランディングになる面もある(国際会議で登壇したという実績。転職などにつながる可能性)
誰に:トークを聞く人(=参加者)
届ける価値:
Pythonの知らない面を知られて嬉しい
自分の開発の中で試せて恩恵を受けられる
スケジュール(オンライン開催想定)
6ヶ月前 プロポーザル募集開始の準備に着手する
5ヶ月〜4ヶ月前 プロポーザルを募集する(募集期間:1〜2ヶ月間)
3ヶ月前 レビュー開始までに採択するトークの本数が決まっている
3ヶ月前 レビューを開始する(レビュー期間:1ヶ月間)
2ヶ月前 採択したプロポーザルを発表する
1ヶ月前 確定したタイムテーブルを発表する
当日に向けての連絡を適宜行う
気をつける点
PyCon JPは国際会議なので、海外のスピーカーとのやり取りは必須
プロポーザルの募集要項やスピーカーとのやり取りは日本語だけでなく英語も必要
トークの本数を決めるためには、カンファレンスが何日間で、各日何コマあり、並行何トラックかが決まっている必要がある
トークの本数=2日間合計のコマ数 × 並行トラック数
内訳は15分トーク◯本、30分◯本、45分◯本のようになる
応募期間がひと月あり、最後に駆け込まれがちだが、仮に採択率が50%を超えそうな場合は、トラック数を減らして、トークの本数を減らしたほうがよいと思われる(2020は本数がギリギリだった)
プロポーザル募集時に、YouTubeへのアーカイブNGか、発表中の写真撮影NGかを聞いていた
レビューは1つのプロポーザルを3人以上でレビューする(多様な視点でレビューする)
採択以外に待機リストを用意する
辞退や連絡がつかない場合に待機リストから繰り上げ採択する
スピーカーがプロポーザルの内容を変更することを許容すると、スタッフのタスクは減り運用しやすくなる
2020はsessionizeのプロポーザルデータをマスタデータとして、PyCon JPサイトに掲載した(システムチームのページ参照)
スピーカーは申し出れば表示名やtypoの修正ができた(要望を聞いてスタッフが直すという作業が発生しなかった)
2019以前(現地開催)では、VISAの発行を考慮し、採択発表は3ヶ月前にしていた
辞退や渡航準備が間に合わない場合に備え、待機リストを手厚く用意していた
チェックリスト
スケジュールを参考にしてください(重複すると思ったので書きません)
各タスクの詳細
プロポーザルの募集を始める
2020の例:https://sessionize.com/pyconjp2020/ (2020年5月の1ヶ月間募集した。1人何本でも応募可能)
レビューから逆算してプロポーザルに必要な項目を設計する
コンテンツチームで検討し、他のスタッフにも意見を聞く(全員でレビューするため)
🚨注意🚨:プロポーザルの応募フォームでは反社会的勢力排除の項目を設ける
プロポーザル募集に使うツールを選定する
プロポーザルを書くときの注意事項をPythonコミュニティに周知する(※)
PyCon JP Blogで書く(日英)
PyCon JPのTwitterアカウントで定期的に発信
(※)続くレビューではプロポーザルの情報をもとに判断する(プロポーザルの記載以外に判断材料はないということ)
そのため、プロポーザルの記載は非常に重要。
どのプロポーザルにもレビューに必要な情報が揃うことを狙って、2020では注意事項を手厚く準備した(1, 2)。
また、サンプルプロポーザルも用意している
レビュー
レビュー観点を決める(どんなカンファレンスにしたいかによる)
コンテンツチームで検討し、他のスタッフにも意見を聞く(全員でレビューするため)
レビューするための仕組みを整理する
20-30人でレビューするので、誰もが守れる簡潔なルールを決める
好みでなく観点に即してレビューする
3段階(採択すべき、採択できる、採択すべきでない)で評価する(過去に食べログ形式を試した際は会議が紛糾したと聞く)
採択すべきでないでない評価の場合は理由を書く(採択会議で参照するため)
2020はレビューに使うWebアプリを自作した
レビュー用アプリは決して必須ではない
(経緯)sessionizeのレビュー機能が分かりづらく、レビュー用アプリまでいかなくてもGoogleフォームなどの準備は必要だった。Googleフォーム+レビューを円滑にすすめる自動化の規模を考えると、Webアプリ自作とそんなに変わらなさそうだったので、経験を積みたいnikkieがレビュー用アプリを作った
sessionizeでもpapercall同様のレビュー機能を開発中とのこと
採択会議を開催する
スタッフを含む全レビュアーが集まり、プロポーザルの中から採択と待機リスト入りを決める
だいたい1日かかる(全てのプロポーザルを議論しなくても)
発表は1人につき1回。複数提出した場合は、一番評価が高いプロポーザルについて議論すると進めやすい
トークのカテゴリ(2020ではTrackと呼んでいた)の間のバランスも考慮したい(NGな例:機械学習のトークばかり)ので、事前にどのカテゴリは何本くらい採択できそうかを算出しておく
トークの難易度(聴衆のレベル)についても同様
事前の評価の平均を取り、上位から採択していく
レビューが全員Yesのように評価が高いプロポーザルに関しては、採択会議で議論せず、機械的に採択する
レビューが高いがNoがある場合はそのレビュアーに意見を求める(ここが懸念など共有してもらう)
レビューが高くても、同じカテゴリのトークや同じ難易度のトークが枠数採択されている場合は、待機リストに入れる(機械学習など人気のカテゴリで発生しがち)
採択結果の連絡
プロポーザルを募集したシステム(2020はsessionize)の機能を使って、プロポーザルの応募者全員に採択結果を連絡する
採択者には期日を切って、発表が可能か応答してもらう(応答がない限りスピーカーとしては確定しないことに注意)
採択者から辞退の連絡があることもある
PyCon JP Blogに採択速報を出す
待機リストからの繰り上げ採択
期日までに応答がない採択者のプロポーザルは却下する(採択の取り消し)
辞退した採択者や応答がない採択者の分、待機リストから繰り上げ採択する
スピーカーへの連絡
2020はsessionizeからスピーカーを選んでメールを送ることができた。
スピーカーには1つのGoogleドキュメントを共有し、更新するたびにメールで「変更しました」と連絡した。
連絡事項は1箇所にまとまっていたほうが後から見返しやすいため。また、メールを長文にしても読まれにくいため(Googleドキュメントは差分だけ確認しやすい)
https://docs.google.com/document/d/1g8Ly6n03avly-p3GMoQZhS9hIFm9-WwsoHTSUgqS0ZI/edit?usp=sharing
主な連絡内容
当日までのスケジュール(見込みでも採択直後時点から共有しておく)
フォームの案内(採択直後)
タイムテーブルの希望調査
Tシャツ送付のための送付先(※Tシャツ送付についてはデザインチームのページ参照)
チケット購入依頼(採択直後)
オンライン登壇について(開催1ヶ月前から。情報共有やリハーサル案内)
タイムテーブル発表(開催1ヶ月前)
質問への回答(←Googleドキュメントに記載しましたと回答することで、他のスピーカーにも共有できる)
タイムテーブル発表
スピーカーから集めた希望をもとに、タイムテーブルを用意する。
並列するトークの中でTrackが重複しないようにする(NGな例:ある時間帯で機械学習のトークが2つ)。
これは、機械学習のトークを中心に聞く、Webのトークを中心に聞くという参加方法をサポートするため。
2020はsessionizeの機能でバランスを見ながらタイムテーブルを用意できた
タイムテーブルはPyCon JP Webサイトにも載せる。
Webサイトの実装を担当しているスタッフと連携する(システムチームのページ参照)
2020はsessionizeのAPI機能を使い、マスタデータをsessionize管理でWebサイトに載せることができた(スタッフでマスタを管理するという作業が発生しなかった)