スポンサープランパッケージ作成・募集開始
概要
予算のバランスを考慮して、スポンサープランパッケージを設計し、資料を作成し、公開する。
金銭を伴う企業間取引であることが、他のタスクと異なる特徴となる。余計なトラブルで工数を割かれないよう、準備や対応に慎重さが必要。
見出し
- 1 概要
- 2 見出し
- 3 主なアウトプット
- 4 作業手順
- 4.1 スポンサーシップパッケージの企画
- 4.2 募集準備
- 4.3 スポンサー受付準備・募集開始
主なアウトプット
公開済みスポンサーパッケージ資料(日/英)
申し込みルール・スポンサー決定ルール
公開済みスポンサー申込フォーム(日/英)
スポンサー申込受付体制
公開済みスポンサー募集Blog(日/英)
作業手順
スポンサーシップパッケージの企画
全体想定予算規模の算出
予算の収入部の大部分をスポンサー売上が占めるため、想定支出・想定チケット売上とのバランスで必要な予算規模を算出する。
想定支出に対する収入設計という意識で計画する
予算担当に予算組み作業を促す
予算担当は予算情報がスポンサープラン設計に必要という意識がない可能性があるため
この時点で緻密な支出を算出できないので、緻密な支出見積もりに時間をかけるのではなく、大枠の予算感を各チームに出してもらうことが重要。
過去の支出感も参考にする
スポンサーランクのテーマ(概説)設計
スポンサー企業が求める価値が何か、イベントが提供できる価値が何かについてまとめる
例
求める価値: Pythonエンジニアの求人につなげたい
提供できる価値: 企業の良さのPR/求人情報の掲示
求める価値: 来場者への製品PR
提供できる価値: 製品の潜在ユーザーへの情報PRの掲示
企業担当者にとってわかりやすい、各スポンサーランクの位置付け・提供価値概念がわかるテーマ(または概説)を作成すると、ランク設計にまとまりが出る
スポンサーパッケージ資料に記載すると、わかりやすくなる
参考例1) Online Sponsorship
Platinum: 大型協賛プラン。Pythonを活用している企業ということに加え、Pythonコミュニティ・活動に理
解のある支援者として参加者に印象づけることができます。Gold: 一般協賛プランて。 Pythonに関係の深い企業として、Pythonコミュニティへの支援者として自社を アピールできます。
Silver: シンプル協賛プランて。 Pythonコミュニティに関わる企業・コミュニティを支援する企業として、自社 PRに活用できます。
参考例2) Offline Sponsorship
Diamond: メインスポンサー。期間中に大々的に来場者の目に入る。イベントを通して来場者に最も大きく存在感をアピール可能。
Platinum: 大型協賛。期間中に目立つ形で来場者の目に入る。Pythonコミュニティ・活動に理解のある支援者として来場者に印象づけられる。
Gold: 一般協賛。期間中に来場者の目に入りやすく、Pythonコミュニティ・活動に理解のある企業として自社をアピール可能。
Silver: ブース出展プラン。小型ブースの範囲で来場者とのコミュニケーションも可能。
Bronze: 小口支援用プラン。Python コミュニティに関わる企業として自社をアピール可能
Sprint: スプリント会場の提供という形でカンファレンスをサポート。Sprint参加者へPR可能。
各スポンサーランクごとの特典の検討・見積(手配可能かどうかの確定)
予算の支出額が算出される前から作業は可能
各スポンサーランクにテーマ(概説)を実現する、特典内容を企画する
過去のスポンサープラン特典や、類似カンファレンスの特典を参考にする
各特典について、どういった価値をスポンサーに提供するのか、本当に価値を感じてもらえるのかをしっかり見定める
自信を持って「(○○という)価値がある」と断言できないものは、特典を見直したほうが良い
企画した特典内容(パネル・冊子・Webサイト等)が対応可能か・コストがどれくらいになるか、必要に応じてデザインチーム・システムチーム・会場チーム・外部業者に確認する
プランごとのだいたいの特典内容・金額をイメージしておく
過去のPyCon JP のスポンサープランや、他の類似カンファレンスのスポンサープランの内容と金額のバランスを参考にしてバランスを調整する
過去や他イベントに合わせる必要はない。
比較した結果、著しく「高い」印象があると応募が少なくなる可能性がある。
比較した結果「安い」印象がある場合、単価を上げて募集数を減らすと、チームのスポンサー対応工数を下げることを検討したほうが良い。
スポンサーが1社増えるだけで、対応工数が大きく増える
想定申込率を踏まえた、スポンサーパッケージ内容・枠数・金額の確定
スポンサープランごとの最終的な特典内容・金額・枠数を調整
全プランの全枠に申し込みが来るわけではないので、申込率を想定した上で、必要売上に達するような金額設定を行う。
申し込み率は、金額・特典によって変わることも考慮に入れる。
正確な申し込み率を算出できないので、感覚的な「想定」で行う(申し込み率の推測に時間をかけない)。
募集準備
各種ルールの策定
応募開始後の応募ルール変更、決定ルール変更、プラン内容変更は極力行わない。
金銭を伴う企業間取引でもあり、大きなトラブルになる可能性がある
決定済みの枠以外に対して決定ルールや応募ルールを変更する場合は、慎重に行う。
例
十分告知をした上で、3次募集から決定ルールを抽選から先着順決定に変更
海外企業の申込可否
決済方法・時期の指定
管理・運用の観点から銀行振込以外を認めない方がよい
海外企業はジャパンネット銀行に直接振り込めない可能性があるため注意。
個別の契約書・同意書を結べないことの明示
スポンサー対応工数に限界があることから、個別の契約書を結べないことを予め明示する
過去に高額スポンサーから、スポンサー決定後に契約書の締結の要望があり、対応工数が割かれた上に内容の問題で締結に至らなかった事がある
2020では、反社排除規定や、個人情報の取扱いに関する一般レベルの同意事項については、この限りではないとした
理由: 企業側が会社の方針としてこの種の同意を必要とする妥当性を理解できるため。一般レベルの内容であれば、この締結によるスタッフへの工数増の可能性が低いため。
イベントスタッフに著しく工数がかかる規定が含まれる場合は、内容を調整した上で同意するような方針だった
広告主の業界制限
反社会勢力の排除は必須
「公序良俗に反するサービス・企業の応募は無効」という条項は入れたほうが良いが、何をもって公序良俗に反するとするかは曖昧なので、不公平感が出ないように運用する。
転職斡旋サービスに対する応募制限の議論
物理開催だった2018では、規制の議論を行った
背景・理由
転職斡旋企業の人材の狩場となり、強引な勧誘など迷惑行為により、来場者のストレスが高まることを避けるため。そのような場をスポンサーに提供したいわけではないため。
転職斡旋企業にとってエンジニアは利益率の高い人材であり、他のイベント等でサービスへの強引な勧誘が行われるケースを目にしたという声が多かったため。
ブースでの無理やりな勧誘・登録誘導は来場者のストレス・迷惑になる。
半ば無理やり登録させられた後に、継続的に望まぬ勧誘されることも迷惑行為となる
カンファレンスへの参加は、(平日の参加など)ある程度所属企業の理解が求められるが、参加者が不特定多数の企業へ継続的に転職勧誘が行われる危険性があるイベントには、参加させたくないという思いが働くのではないかという仮設
不特定多数の企業への継続的な転職勧誘と、通常スポンサー企業の自社PR・勧誘とは、影響度合いが異なる
制限を行う場合は、募集時点で明示しておかないとトラブルになる
オンライン開催だった2020では、議論の末、規制を行わなかった。
物理ブースと異なり、強引な勧誘等の迷惑行為の可能性が低いと考えられたため。
その他、悪徳な出会い系・ネットワークビジネスと目されるサービスからの申込みがあった場合に、どう対応するか決めておく
ロゴ・表示名の制限
制限を設けないのか、サービス名を許容するのか、掲示は企業名のみなのか
スポンサーブースを設ける場合の、禁止事項の明示。
物理ブース・オンラインブース共通
金銭・有価証券の配布
一律禁止する、法律の範囲(自己責任)で認める、等
射幸心を煽るコンテンツ(景品表示法の遵守または一律禁止)
例: 抽選で豪華高級賞品が当たる
公序良俗・CoCに反する展示
例: 悪意・故意性はなくても、例えば、企業の既存のポスターに過度に露出の高い女性やキャラクータが用いられている場合、CoC違反となる可能性もある
物理ブース
非加熱の飲食物や飲料提供についての規制等
食中毒を防止する
液体が溢れることによる、参加者間・企業間のトラブルや、会場の汚れを防止する
使用可能電力量
個別に割り当てられたブースエリアを超えての展示・活動
スポンサー決定ルールの策定
留意事項
応募企業に不公平感を感じさせないスポンサー枠の決定 を行う(企業の「協賛したい」という好意を無下にしない)という方針
(募集開始した後にしかわからないことだが、)当年のスポンサープランに対する引き合いが多く、スポンサー枠が売り切れる可能性 を想定
期間別抽選
申し込み順ではない理由
申込に対してスタッフが即時対応できないため
例: 既に埋まったPlatinumに応募した企業が、スタッフからの連絡が遅れたために、時間差で連絡を待っている間にGoldも埋まってしまうと、早くに高ランクの協賛をしようとした企業が損をする
※枠が埋まっていた場合に自動繰り下がりを受けられない企業もあります(Platinumなら協賛するけど、Goldなら協賛しない等))
※当年のスポンサープランにどの程度「引き合い」があるかは不明なため、「引き合いがある」という前提で募集ルールの設計をした
期間を細かく区切った理由
抽選とした場合、枠を早く決定(収入を確定)し、早く空き枠の募集提示をしたいため。
2020の担当スタッフの稼働に無理のない週1という頻度の募集期間・抽選とした。
※応募が落ち着いた後は、競合申込みも減るため、先着順とした
参考
完全先着順方式
募集スケジュール(告知日・開始日・終了日)の決定
募集開始日より前にプラン公開日を設ける理由:
「スポンサー応募したかったのに、会社のルール上、即時の予算の承認ができない」という企業への配慮
「即時募集だと、PyCon JP関係者に知り合いがいて、非公表ながらだいたいどの時期にスポンサー募集開始かわかる企業が(事前に社内手続きが終えられて)不公平」という声があったため
※ただし、どれくらいの期間があれば十分なのかは不明であるため、不公平感が出ない最低限/気休め程度の期間
スポンサープランパッケージ資料の作成・公開準備
各プランの特典差異がわかると見やすい
応募条件・特典の免責事項などをしっかり書いておく(後からのトラブル防止)
「何が含まれないか・禁止されるか」を明示することが重要
資料作成のツールは問わないが、PowerPoint(あるいはGoogle Slides)で作成してPDFにする方法がある。
資料はGoogleDrive上で公開し、アクセスURLをBlogや公式Webサイトなどに掲載する形だと、資料の差し替え等が容易になる
差し替え例: 誤りの訂正や、売り切れプランの明示等
応募フォームの作成
設けたほうがいいチェックボックス同意事項
反社会勢力排除規定
応募後原則キャンセルできないこと
イベント中止時の同意事項
その他、応募後にトラブルになりそうな事項についての確認事項をチェックボックスで明示して、同意をとっておく
申し込みと同時にロゴ等の画像アップロードを必須にしておくと、 画像収集工数を大きく節約できる
必要なロゴの種類が決まっている必要がある
その他応募フォームは前年のものを参考にする
申し込みをSlackに通知する
企業の申込みへの対応を漏らさないように何かしらの方法で担当者が目にしやすいところに通知を飛ばす
例:
Zapierを使用して、GoogleFormの申し込みをSlackのchannelに自動投稿
Zapierを使用して、JIRAのチケットを自動作成
応募時の対応プロセスの決定
誰が・どういった手順で・どのように対応するのか決めておく
お見合いして対応漏れが生じることが無いよう、応募への対応責任者を1人決めておく
対応責任者は、全応募への対応を行う役割ではなく、対応の漏れが無いことを保証する役割。
募集開始Blogの作成
Twitter/SNS定期告知文の作成
各サービスの利用規約に反しない形で行わないと、アカウントがスパム認定されたり、凍結される危険性がある。また、一般ユーザーからブロックされてしまう危険性もある。
スポンサー受付準備・募集開始
スポンサーパッケージ資料(日英)の公開
応募フォーム(日英)の公開
告知blog/Twitterの公開
Twitterの定期告知設定